幽霊といえば、死んだ人間がお化けとして出現することをイメージするかと思いますが、しかし実際に生きている人間が幽霊=生的幽霊として出現する場合があるというのです。これは二重体などとも呼ばれ、その具体的な形態は複数あります。例えば、二重体が幽霊として出現する場合や、実在する別の人物の姿をとって出現する場合があります。また、夢の中で自分自身の姿を持つもう一つの身体が現れることも、二重体の一例とされることがあります。
二重体の現象が起こる原因は不明であり、科学的に証明された現象ではありません。一部の超心理学者や超常現象研究者は、二重体現象は心霊現象やテレポーテーション現象などと同じく、超自然的な現象の一つであると主張していますが、これらの主張は科学的な根拠に欠けるため、一般的には信じられていません。
ドッペルゲンガー現象についても二重体のひとつだと考えられますが、ドッペルゲンガー現象の場合は自分とは別人の人間に対象を限定している上に、会うと死に至ったり、不吉の予兆という考えが強調されている点において、一般的な二重体とはある種似て非なるべつものだと私は考えています。
英国における二重体に関する不思議な話をご紹介します。
1891年のある夜、アイルランド人のとある女性が夢でとても美しい雰囲気の家屋の夢を見たそうです。その次の日も同じ夢を見て実に不思議に思いました。この翌年、この女性一家はイングランドに引っ越すことになり、引っ越し先を見つけなければならなくなりました。早速不動産探しに出かけると、幸先よく格好の売家があるとのことで、行ってみると夢で見た内容と一致する家だったそうです。しかし、ひとつだけ内装が違っていたため、理由を案内人に尋ねたところ、ちょうど半年前にやり替えたとのことで、その内容も内覧する前から知っていたことになりますね。さて、この物件、気に入ったものの、やけに値段が安かったそうです。その理由を尋ねると、毎晩お化けが出るというのです。いわゆる幽霊屋敷、事故物件ということになりますね。女性はそのことを聞いて肩を落としました。しかし、案内人は皮肉めいた口調でこう言いました。
「安心してください。実はその幽霊というのがあなたなのですよ。だからもう幽霊が出ることはないでしょう」
つまり、この女性が生的幽霊となってこの屋敷に現れていたということになります。実に不思議な話です。
実は理事長にも似たようなエピソードが幼少期にあります。
幼馴染の友達のお母さんAさんが近所にいたのですが、そのAさんが小学校低学年だった私に問いかけます。
Aさん「○○くん、昨日、○○の○○に居たよね?」
私「いいえ、そんなとこ行ってませんけど」
Aさん「嘘やん嘘やん。絶対いたって。なんでそんな嘘つくの?」
私「いやあ、いましたかね?」としぶしぶ同調。
Aさんはめちゃくちゃ厳格な母親像で、薬科大を卒業した薬剤師さんであり、めちゃくちゃ科学的な人だったんですよね。しかも、人をからかう様なことは一切なく、曲がったことが大嫌いというような人でした。もちろん、当時しょっちゅう遊びに行って顔を合わせていたので自分と他人を間違えることも考えにくい。
なので、このような生的幽霊、二重体の話を見聞すると、
「やっぱそういうことってあるんやなあ」と思えます。
日本においては一般的に生的幽霊というと、生き霊のことを指し、恨みや妬みのある人間の夢に出てきて苦しめたり、姿を現して災いを起こしたり、恐怖心を与えるといった暗いイメージですが、西洋の場合、あるいは私のような面白いケースもあるということを知っていただけたらと思います。
今日は生きている幽霊という不思議な話でした。